トップページカウンセリングキャリアカウンセリングの理論

キャリアカウンセリングの理論

ジョン・ホランドの理論

J.ホランドの理論は、特性志向アプローチに属する代表的な理論です。パーソンズやウィリアムソンの特性因子論の流れを色濃く継ぎ、人の性格を6つの基本的なタイプに分け、その6つのタイプを六角形の図表上に表してそれぞれの関係性を明らかにしながら、キャリア形成は個人の性格と仕事環境との相互作用の結果からなされると考えました。

人を3つの性格タイプで表したものをスリー・レター・コードと言う。 (例:@I-S-E・・・研究的・社会的・企業的、例:AR-I-A・・・現実的・研究的・芸術的)一般的に3つの性格タイプのうち、1つは優勢で、残りの2つは補完的意味合いを持つが、中には、興味や能力のパターンが均等で、いずれの性格タイプでもない場合もある。

 
スリー・レター・コードの種類
一貫性のあるコード
六角形上で隣り合っている性格タイプや職務は、距離が近いほど心理的類似性が高く、RI、IR、IA、AI、AS、SA、SE、ES、EC、CE、CR、RCのコードは一貫性がある。コードの初めの二文字がこれらの場合には、その人は内的に安定感があり、仕事を見つけやすいとされる。
一貫性のないコード
対角線上にある性格タイプや職業は最も異なっている。RS、SR、CA、AC、EI、IEは一貫性のないコードである。こうした人々は少なからぬ内的葛藤が存在すると推測される。対角線上にある職業は、それぞれ全く異なる能力を必要とするため、適した仕事を見つけるのは難しい。
中間的な関係のコード
六角形の頂点を一つはさんで隣り合う性格タイプは中間的な関係にあるとされる。コードの最初の文字は、RA、AR、IS、SI、AE、EA、SC、CS、ER、RE、CI、ICである。このような二つの頭文字を持つ人は方向性がある程度異なる興味、関心を持っているが、仕事の中でこれらの特性を上手く組み合わせていけると考えられている。
研究的Investigative
生物学や物理学関係の活動、数学や科学の能力を伸ばすことを好む。科学や医学分野の職業を好み、好奇心が強く学究肌で自立的性格。
芸術的Artistic
慣例にとらわれず創造的な活動を好む。言語、美術、音楽、演劇などのスキルを伸ばそうとする。創造的な才能を活かせる職業を好み、発想が豊かな芸術的性格。
社会的Social
人に伝える、教える、手助けすることなどに関連する活動を好む。人と一緒に仕事をする能力を伸ばそうとする。教育、保育、カウンセリングなどの職業を好み、人助けに喜びを見出す友好的性格。
企業的Enterprising
指導的で影響力のある活動を好む。リーダーシップ、説得力、その他人と仕事をするのに必要なスキルを伸ばそうとする。商品の販売や人の管理などに関する職業を好み、野心的、外向的で自信家な性格。
慣習的Conventional
情報を明確に秩序立てて整理できる活動を好む。組織的、事務的、計数的処理能力を伸ばすことを好む。記録管理、計算、コンピュータ操作などに関する職業を好み、責任感があり、信頼できる緻密な性格。
現実的Realistic
道具、物、機械、動物などを扱うことを好み、手作業、機械作業、農業、電気関係などのスキルを伸ばそうとする。組立てや修理に関わる職業を好み、地に足がついていて実践的性格。

ホランドは大多数の人は上記の6つのタイプに分かれるとしましたが、人はそれぞれが独自のコードを持ち、それらは6つのタイプのうち3つの頭文字(Three Letter Code)を合わせたもので、これらは簡単に性格を説明するものであること、また、環境も同様に同じ6つのタイプの組み合わせで説明できるとしました。人は自分のコードに関連した活動を行うことを望み、活動するものであり、自分のコードが表わすものは、自分の興味や能力を発揮し、価値観を満たそうとするものであると考えられます。そして、自分の性格コードと職業コードがマッチしていれば、自分の職業に満足と安定を感じ、成果を上げ、社会に対する貢献度も高まるとホランドは考えました。

ドナルド・スーパーの理論

スーパーはキャリア発達を人間の発達と関連付けて人生を各ステージに分け、キャリアは単に青年期に選択され、決定され、それが変化せずそのまま維持されるのではなく、キャリアは生涯に渡って発達し変化すると述べ、ライフキャリアレインボーを発表しました。また、幼少期から個人が家庭、学校、地域、その他の場、成人してからは職場などで周囲からどのようなフィードバックを得て、どのような社会的・文化的要因に晒されてきたかで自己概念が形成されるとし、それが職業選択や仕事満足感に大きな影響を及ぼすと考えました。

ライフロール(人生役割)

  1. 1. 子供
  2. 2. 学生
  3. 3. 余暇人
  4. 4. 市民
  5. 5. 学生
  1. 6. 労働者
  2. 7. 配偶者
  3. 8. 家庭人
  4. 9. 親
  5. 10. 年金生活者
キャリアとは、人生のそれぞれの時期で果たす、役割(ライフロール)の組み合わせである。
第一期:成長段階
0歳〜15歳。身体的成長、自己概念の形成が中心で、興味や能力の探求が始まる時期。
第二期:探索段階
16歳〜25歳。様々な分野の仕事やその必要条件を知る。徐々に特定の仕事に絞りこんでいき、訓練を受け、暫定的にその仕事を試みる。
第三期:確立段階
26歳〜45歳。ある特定の仕事にしっかりと根を下ろす。その仕事を通して責任を果たし、職業分野に貢献し、専門性を高めて昇進する時期。
第四期:維持期
46歳〜65歳。確立してきた職業的地位を維持し、若い世代に負けないように、更に役割や責任を果たしながら、後期は退職後のキャリアを考える。
第五期:衰退期
66歳〜。スローダウンし、少しずつ有給の仕事から離れて行く。これまで以上に、地域活動、趣味・余暇活動を楽しみ、家族と共に新しいライフスタイルを形成する。

ナンシー・シュロスバーグの理論

シュロスバーグは、キャリア発達は転機(transition)の連続であると考え、転機のプロセスを理解して、転機に上手く対処できるようになることに焦点を当てています。転機とは、何らかの出来事が起こることや、予期したことが起きないことによって引き起こされる変化です。仕事の内容が変わる、誰の下で仕事をするかが変わる、働く場所が変わる、新たな訓練が必要になるなど、人間を取り巻く環境は常に転機の連続であるとシュロスバーグは考えています。

転機
イベント
ある出来事が起こること。(期待の有無に関わらず)
ノンイベント
期待していた結果が起こらないこと。
転機によって起こる変化
役割
人生の役割のうち、どれかがなくなり、または大きく変化する。
関係
大切な人との関係が強まったり弱まったりする。
日常生活
物事をいつ、どのように行うか変化する。
自分自身に対する見方
自己概念が影響を受ける。

ジョン・クランボルツの理論

クランボルツはキャリア開発における学習過程に焦点を当て、「キャリア開発は学習プロセスの結果である」とし、どのように人は学習するのか、その学習プロセスの理解をキャリアカウンセリングに活かすかを提唱しました。社会的学習理論の立場から、カウンセリングの基礎手法として、①強化、②ロール・モデル、③シミュレーションを提唱しています。つまり、キャリアカウンセラーの役割は、パーソンズやホランドに代表される特性因子アプローチのように、「人と職業のマッチング」を目指すのではなく、「問題解決のための学習援助」であると考えるのです。そして、クランボルツはキャリア形成の一つの要因として、「計画された偶発性(Planned Happenstance)」の概念を提唱しました。

サニー・ハンセンの理論

ンセンは、著書「統合的人生設計―Integrative Life Planning―ILP」の中で、キャリア概念の中に家庭における役割から社会における役割まで、人生における役割全てを幅広く盛り込み、新しいキャリアに対する概念「ライフキャリア」を提唱しました。キャリア開発とその計画においては、自分の個人的な人生上の満足だけに焦点を当てるのではなく、意味ある人生のため、「自分にも社会にも共に役立つ意義ある仕事」を行う視点に立ってキャリアの選択を行うべきだとし、人生の4つの要素のバランスを重視しました。

六つの重要な課題
重要課題1
グローバルな視点から仕事を探す。
重要課題2
自分の人生を”有意義な全体”として織り上げる。
重要課題3
家族と仕事を結びつける。
重要課題4
多様性と包括性を重んじる。
重要課題5
内面的意義や人生の目的を探る。
重要課題6
個人の転機と組織の変革に対処する。

社会認知的キャリア理論(Social Cognitive Career Theory, SCCT)

レント、ブラウン、ハケットの3人は、他のキャリア理論で言及された、興味、能力、価値観、意図、目標、自己概念、及び「自己効力感」などが密接に絡み合いながら、最終的には「認知」が、性別や素質といった個人変数や、労働市場、経済動向などの環境変数と相互に作用し合ってキャリア発達を促すと仮定します。SCCTはクランボルツの学習理論とも類似する考えに立ちますが、A.バンデューラの社会的認知理論から最も影響を受け、バンデューラが提唱した三者相互作用の考え方を基盤としています。

エドガー・シャインの理論

ャインは「キャリア・アンカー」の概念を提唱し、これは彼のキャリア理論の中でも重要な位置を持っています。キャリア・アンカーとは直訳すると、「キャリアの錨」を意味しますが、概念的に言えば、「個人のキャリアの在り方を導き、方向付ける錨、キャリアの諸決定を組織化し、決定する自己概念」、すなわち、長期的な職業生活において「拠り所となるもの」です。キャリア・アンカーの構成要素として、シャインは@才能・能力、A動機・欲求、B価値・態度などを挙げています。そしてこの3つの要素が統合された「自己概念」によって、キャリア・アンカーは組織化されると考えています。

キャリア・アンカー
●色々な仕事環境での成功体験に基づく自覚された才能と能力。
●現実の場面での自己診断や他者からの評価に基づく自覚された動機と欲求。
●自身の考え方と、働く集団・組織や仕事環境の規範及び価値との衝突の経験に基づく自覚された態度や価値。
専門能力
企画、販売、人事、エンジニアリングなど特定の専門分野で能力を発揮することに幸せを感じる。
経営管理能力
組織内の機能を相互に結びつけ、対人関係を処理し、集団を統率する能力や権限を行使する能力を発揮し、組織の期待に応えることに幸せを感じる。
安定
仕事の満足感、雇用保障、年金、退職手当など経済的安定を得ること、一つの組織に長く勤務した上で、組織への忠誠や献身などに価値を見出す。
企業家的独創性
新しいものを創り出すこと、障害を乗り越える能力と意気込み、リスクを恐れずに何かを達成すること、達成したものが自分の努力によるものだという欲求が原動力。
自律
組織のルールや規則に縛られず、自分のやり方で仕事を進めて行く、組織に属している場合、仕事のペースを自分の裁量で自由に決めることを望む。
社会への貢献
暮らしやすい社会の実現、他者の救済、教育など価値あることを成し遂げること、転職してでも自分の関心ある分野で仕事をする機会を求める。
ライフスタイル
個人的な欲求、家族の願望、自分の仕事などのバランスや調整に力を入れる、自分のライフワークをまとめたいと考えており、それができる仕事を考える。
挑戦
解決困難に見える問題の解決や手ごわい相手に打ち勝とうとする、知力、人との競争にやりがいを感じる、目新しさ、変化、難しさが目的になる。
カウンセリング
心理カウンセリング
心理療法の概要
心理療法の理論
キャリアカウンセリング
キャリアカウンセリングの概要
キャリアカウンセリングの理論
産業カウンセリング
産業カウンセリング